2024/06/15 05:13
引用元記事:https://www.sfphes.org/2023/06/physique-bulkup.html(週4回)|https://www.sfphes.org/2023/05/5.html(週5回)
フィージーク大会で優勝実績もある選手の増量期(1週間4回)・減量期(1週間5回)それぞれの筋トレメニュープログラム(部位分割スプリットトレーニング)をご紹介します。
本記事では元テコンドー五輪強化指定選手、現フィジーク選手の上岡颯選手の執筆・監修によって記載されています。
この記事の執筆・監修者
上岡颯選手(HAYATE)
五輪種目テコンドー元強化指定選手(全日本選手権準優勝2回)
2023年フィジーク競技転向デビュー戦優勝(マッスルゲート北関東)
部位分割筋トレとは
筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)を行うと、筋肉を構成している筋繊維は微細な裂傷を生じます。
そして、これが鍛える前よりもより強く太くなって回復する「超回復理論」を繰り返すことによって筋肉を作っていくのが「筋トレ」です。
筋繊維の回復にはおよそ48~72時間の休養が必要となり、超回復前に再び筋肉に負荷を加えるとは避けなくてはなりません。
このため、全身を1日で全てトレーニングしてしまうと3日おきにしかトレーニングができず、あまり効率は良くありません。
そこで、全身の筋肉をいくつかのグループに分け、グループごとに1週間をかけてローテーションで鍛える部位分割トレーニング(スプリットメニュー)が考案され、実際に多くのスポーツ選手やトレーニーに採用されています。
筋肉部位別の超回復速度
24時間で超回復する部位
前腕筋群
腹筋群
腸腰筋群
下腿三頭筋
前脛骨筋
48時間で超回復する部位
大胸筋
三角筋
上腕三頭筋
上腕二頭筋
臀筋群
内転筋群
72時間で超回復する部位
広背筋
僧帽筋
脊柱起立筋
大腿四頭筋
ハムストリングス
筋肉のグループ分け
全身の筋肉は、その作用によって次のようなグループに分けるのが一般的です。
上半身の押す筋肉:大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・前腕伸筋群
上半身の引く筋肉:広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・前腕屈筋群
下半身の筋肉:臀筋群・大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋群・下腿三頭筋
体幹の筋肉:脊柱起立筋・腹筋群・腸腰筋群
※一般的に脊柱起立筋は上半身の引く筋肉と一緒に、腹筋群は上半身の押す筋肉と一緒に、腸腰筋群は下半身の筋肉と一緒にトレーニングします。
また、肩と腕の筋肉群だけを分離して別グループとして部位分割する方法もありますが、これは主に週4回以上のスプリットトレーニングで採用されます。
なお、筋肉部位の名称(読み方)および働き(作用)などのさらに詳しい情報は下記リンク先の「主な筋肉の一覧図鑑」をご参照ください。
主な筋肉の名前と働き(名称と作用)および部位別の筋力トレーニング種目
具体的なトレーニングプログラムを解説する前に、ますは、細マッチョ筋トレのマストアイテムを2点ご紹介します。
関連記事
細マッチョの定義とは?発達していた方が良い筋肉と過剰な筋肥大がNGな部位をフィジーク選手が解説
細マッチョ筋トレのマストアイテム

細マッチョを目指すトレーニングで最も大切なのは、「腰周りを太くしない」ことです。
このためには、通常のベルトよりも幅の広いこちらのような特殊なトレーニングベルトで腰周りを締め付けサポートし、腰回りの筋肉に大きな負荷がかかりにくくするのがポイントです。
ダンベルのかわりにトレーニングチューブでもOK
自宅で簡単に取り組める筋トレとして一般的なのがダンベルトレーニングですが、こちらのようなしっかりとしたトレーニングチューブであれば、ダンベルのかわりに使用できます。
細マッチョ筋トレはバルクアップ筋トレと違い、そこまての高負荷は必要ありませんので、トレーニングチューブでも対応可能です。
また、ダンベルに比べてかさばらない、逆三角形作りに不可欠な上から引くトレーニングができる、といったトレーニングチューブならではのメリットも少なくありません。
チューブトレーニングメニュー
HAYATE選手のバルクアップ4分割メニュー
HAYATE選手の実際の組み方・注意点
増量期なので基本的に重量を追い求めるトレーニングです。
毎週、重量もしくはrep数を上げるためにもメモなどの記録を取ることが重要となります。
各種目実施時にの実際にHAYATE選手が注意してるポイントは、各種目欄に「★」で示してあります。
増量期の週4回トレーニングプログラム
週1回目(月曜日)の筋トレメニュー
大胸筋のトレーニング
①マシンチェストフライを10rep×3set
★低重量で予備疲労法として行う
▼具体的なやり方を解説した記事
②ベンチプレスを10rep×5set
★足上げ、サムレスグリップで反動は使わずに丁寧に挙げる
▼具体的なやり方を解説した記事
③ダンベルフライを10rep×5set
★ネガティブ動作で頭を上げ、ポジティブ動作顎を引いて頭を下げる
▼具体的なやり方を解説した記事
④インクラインマシンチェストプレスを10rep×5set
★上腕三頭筋に力が入らないようにグリップは緩めにする
▼具体的なやり方を解説した記事
⑤ディップスを10rep×5set
★下部狙いの場合は足の位置を身体より少し前に出し、垂直に上下する
▼具体的なやり方を解説した記事
⑥ケーブルフライを10rep×5set
★収縮を最優先に意識し、収縮した状態で2秒程度停止する
▼具体的なやり方を解説した記事
▼HAYATE選手がプレス系種目で使用しているリストラップ
HAYATE選手のコメント
「プレス系種目では手首への過負荷を防ぐためにリストラップを使用していますが、私は世界でも最強レベルのサポート力を持つ鬼リストラップXX70cmを愛用しています。非常にハードなサポート力があるだけでなく、内側の滑り止めゴムが肌に喰いつきハードセット終盤レップでも全くズレることがありません。」
上腕二頭筋のトレーニング
①EZバーアームカールを8rep×5set
★高重量で行うが、腰を反るなどの反動は使わず、上体を立てたまま行う
▼具体的なやり方を解説した記事
②インクラインダンベルハンマーカールを10rep×5set
★インクラインベンチ台は60度くらいの角度で、肘を伸ばしきる
▼具体的なやり方を解説した記事
週2回目(水曜日)の筋トレメニュー
背中のトレーニング
①荷重チンニングを10rep×5set
★胸を張った状態をキープして上下する
▼具体的なやり方を解説した記事
②バーベルデッドリフト(ハーフ)を10rep×5set
★足幅を狭めにすることで背中以外の筋肉の関与を減らす
▼具体的なやり方を解説した記事
③ケーブルシーテッドローイングを10rep×5set
★胸は常に張った状態でアッチメントがへそより上に行かないように引く
▼具体的なやり方を解説した記事
④リバースラッドプルダウン(特殊グリップ使用)を10rep×5set
★椅子には浅く腰掛け、みぞおちの下に向かって引くイメージ
▼具体的なやり方を解説した記事
▼HAYATE選手が実際に使用している特殊グリップ
HAYATE選手のコメント
「特殊グリップを使ったアンダーグリップでのラットプルダウンは、私が独自に編み出したオリジナル種目で、これにより背筋下部(広背筋下部)が激変しました。また、フィジーク競技では発達がNGとされる僧帽筋に負荷が入るのも防げます。」
⑤ケーブルプルオーバーを15rep×5set
★低重量で行い、ストレッチ動作では頭を下げ、ポジティブ動作で顎を上げた状態で頭を上げる
▼具体的なやり方を解説した記事
上腕三頭筋のトレーニング
①スミスマシンナロープレスを8rep×5set
★高重量で行い、ネガティブ動作では頭を上げ、ポジティブ動作では頭を下げる
▼具体的なやり方を解説した記事
②ライイングバーベルフレンチプレスを10rep×5set
★潰れたら限界までナロープレス
▼具体的なやり方を解説した記事
週3回目(金曜日)の筋トレメニュー
肩のトレーニング
①ダンベルショルダープレスを8rep×5set
★高重量で行い、可動域をしっかり取る
▼具体的なやり方を解説した記事
②ダンベルサイドレイズを10rep×5set
★反動使わず床と平行になるまで上げる、上がらなくなったら足の反動を使う
▼具体的なやり方を解説した記事
③ダンベルリアラテラルレイズを10rep×5set
★ベンチ台45度にして、みぞおちの上がベンチ台の端に来るようにうつ伏せにもたれかかり、肩甲骨を寄せないで上げるイメージで行う(背中に刺激が入らないようにするため)
▼具体的なやり方を解説した記事
④リアデルタローイングを10rep×5set
★肩甲骨寄せないでリアだけ効かせるイメージで行う
▼具体的なやり方を解説した記事
⑤マシンショルダープレスを10rep×5set
★通常向きと逆向きで座る。身体は若干斜めにして前のめりで挙げる
▼具体的なやり方を解説した記事
週4回目(日曜日)の筋トレメニュー
下半身のトレーニング
①マシンレッグプレスを20rep×5set
★挙げる時、膝は伸ばし切らない
▼具体的なやり方を解説した記事
②マシンレッグエクステンションを15rep×5set
★大腿直筋の起始で挙げるイメージで行う(カットを出やすくするため)
▼具体的なやり方を解説した記事
③マシンレッグカールを15rep×5set
★伸展する際に膝を伸ばし切らない
▼具体的なやり方を解説した記事
減量期の週5回トレーニングプログラム
それでは、次の項目からは、HAYATE選手の実際のトレーニングプログラムをご紹介します。
①月曜日の筋トレメニュー:背筋群
1.懸垂(加重):10rep×4set
2.バーベルベントオーバーロウ:10rep×4set
3.バーベルデッドリフト(ハーフ):10rep×4set
4.ケーブルローイング:10rep×4set
5.ケーブルラットプルダウン(特殊グリップ使用):10rep×4set
▼HAYATE選手が実際に使用している特殊グリップ
HAYATE選手のコメント
「特殊グリップを使ったアンダーグリップでのラットプルダウンは、私が独自に編み出したオリジナル種目で、これにより背筋下部(広背筋下部)が激変しました。また、フィジーク競技では発達がNGとされる僧帽筋に負荷が入るのも防げます。」
②水曜日の筋トレメニュー上腕三頭筋・上腕二頭筋
1.バーベルナローベンチプレス:5rep×4set
2.ダンベルキックバック:10rep×4set
3.バーベルフレンチプレス:10rep×4set
4.ケーブルプレスダウン(特殊アタッチメント使用):10rep×4set
5.ダンベルハンマーカール:10rep×4set
6.ダンベルインクラインカール:10rep×4set
7.バーベルプリチャーカール:10rep×4set
▼HAYATE選手が実際に使用している特殊アタッチメント
HAYATE選手のコメント
「ロープ状のアタッチメントは動作軌道の微修正が可能で、効かせたい部位にピンポイントに刺激を入れるのに非常に優れています。また、時にケーブルカールにも使用しています。」
③木曜日の筋トレメニュー:三角筋
1.スミスマシンショルダープレス:10rep×4set
2.ダンベルフロントレイズ:10rep×4set
3.ダンベルサイドレイズ:10rep×4set
4.ダンベルリアラテラルレイズ:10rep×4set
5.ダンベルリアデルタロー:10rep×4set
6.ダンベルショルダープレス(アーノルドプレス):10rep×4set
▼HAYATE選手が減量期に使用しているリストラップ
HAYATE選手のコメント
「プレス系種目では手首への過負荷を防ぐためにリストラップを使用していますが、それほど高重量を扱わない減量期には、高価なIPF公認品ではなく、リーズナブルでIPF公認品に近いい性能を持つOEM製品を愛用しています。リストラップはあくまでも消耗品で、少し伸びてくると新しいものに交換しています。」
④土曜日の筋トレメニュー:下半身+腹筋群
1.マシンレッグプレス:10rep×4set
2.マシンレッグエクステンション:10rep×4set
3.マシンレッグカール:10rep×4set
4.マシンアダクション:20rep×4set
5.クランチ:20rep×4set
6.レッグレイズ:20rep×4set
7.ダンベルサイドベント:20rep×4set
⑤日曜日の筋トレメニュー:大胸筋
1.マシンチェストフライ10rep×4set
2.バーベルベンチプレス:5rep×4set
3.ダンベルフライ:10rep×4set
4.ディップス:10rep×4set
5.ダンベルベントアームプルオーバー:10rep×3set
6.スミスマシンベンチプレス:10rep×4set
▼HAYATE選手がプレス系種目で使用している補助ギア
LARA★STARベンチプレスサポーター(スリングショット式|筋トレギア)
HAYATE選手のコメント
「ベンチプレスなど大胸筋の種目は、いかに大胸筋に負荷を効率的に入れるかということを主題にしており、2大スティッキングポイントであるボトムと肘90度ポイントは、それぞれスリングショット(肩)とエルボースリーブ(肘)で各関節に負荷をかけるリスクを避けています。」
1週間3回のトレーニングプログラム(初心者向け)
ダンベル(自宅)またはマシン(ジム)を使った初心者向けの週3回のトレーニングメニューについては下記の記事をご参照ください。
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