2024/05/14 05:11
①バルクアップでターゲットにする筋繊維
筋トレの対象となる骨格筋には主に3種類の筋繊維があり、それぞれ役割とレジスタンストレーニングに対する反応が異なります。それは、以下の通りです。
筋繊維タイプ2b
短時間に非常に強い収縮をする「筋繊維タイプ2b」は、筋肥大しやすい特性を持っており、バルクアップ筋トレのメインターゲットとなる筋繊維です。この筋繊維は8~10回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で反応しますので、筋肥大トレーニングはこのような高負荷設定で実施します。
筋繊維タイプ2a
30秒~1分ほどの時間に比較的強い収縮をする「筋繊維タイプ2a」は適度に筋肥大する特性を持っており、少しでも筋量を増やしたいバルクアップ筋トレではこの筋繊維もサブターゲットになります。この筋繊維は12~15回前後の反復動作で限界がくる負荷設定で反応するため、アップや追い込みセットの中負荷トレーニングで鍛えていきます。
筋繊維タイプ1
長時間持久的な収縮をする「筋繊維タイプ1」は、ほぼ筋肥大せずに緊密度が向上する特性を持っており、バルクアップ筋トレでは対象外の筋繊維です。なお、この筋繊維は20回以上の反復動作で限界がくる低負荷設定で筋力トレーニングを行った時に反応します。
②コンパウンド種目主体で短時間集中
筋トレの種目にはコンパウンド種目とアイソレーション種目の2種類があり、それは以下の通りです。
コンパウンド種目:複合関節運動とも呼ばれる種目で、複数の関節と複数の筋肉を同時に使って動作をします。複数の筋肉を協働させるため、高重量のウエイトを扱うことが可能です。
アイソレーション種目:単関節運動とも呼ばれる種目で、単一の関節と筋肉だけを動作させます。単一の筋肉しか動員できないため高重量には向かず、主に仕上げ筋トレとして実施されます。
バルクアップ筋トレでは、高負荷で反応する筋繊維タイプ2bがメインターゲットですので、コンパウンド種目で高重量トレーニングを行うのが基本になります。
また、このような高重量トレーニングでは筋肉の疲労や運動エネルギーの消費が激しくなるため、低負荷のアイソレーション種目は実施せず、短時間で集中的なトレーニングを行います。このような筋トレメソッドを「ヘビーデューティートレーニング」と言います。
③スロー&ストリクト
高重量を追い求めると、つい陥ってしまうのが「反動を使って見かけは高重量で行う筋トレ」ですが、このようなトレーニングだと肝心の筋肉にはそれほど強い負荷が入りません。また、トレーニング動作の押し返しポイントでも反動を使ってはいけません。
焦る気持ちを抑え、スロー&ストリクトな動作での限界重量トレーニングを実施してください。
④超回復と食事の摂り方
超回復のためにしっかりと休養日を設定する
筋トレを実施すると、筋肉を構成する筋繊維はダメージ(微細な裂傷)を受け、それが回復するのに一定期間を要します。そして、回復する時に筋繊維は超回復前よりも太く強くなって回復します。
そして、この超回復を適切に繰り返していくことで筋肉を発達させるのがバルクアップ筋トレの基本理論です。
筋肉は部位によって超回復速度が異なりますが、これは主に筋繊維の構成比率と関係しています。筋繊維には大きく速筋と遅筋の2種類があり、日常での使用頻度が高い筋肉部位ほど遅筋の比率が高くなっています。
具体的に、日常での使用頻度が高く遅筋繊維の比率が高い部位は、前腕筋群・腹筋群・腸腰筋群・下腿三頭筋などで、これらはおよそ24時間で超回復します。
逆に、日常での使用頻度が低い部位や体積の大きな筋肉は、筋力トレーニングによって筋繊維にダメージを受けやすく、これらの回復には48~72時間が必要です。
ですので、バルクアップ筋トレでは筋トレと筋トレの間隔は中2日をとり、しっかりと筋肉を回復させていきます。
高タンパク質なだけでなく適切なカロリー分も摂取
筋肉を大きく成長させていくためには、筋肉の材料となるタンパク質を多く摂取することが絶対条件になります。
具体的には、1日に体重1kgあたり3gの純タンパク質が目安です。これを脂質のない肉類に換算すると、肉の80%が水分・20%がタンパク質ですので、1gの純タンパク質=5gの肉類となります。
体重が70kgの場合、1日に約200gの純タンパク質が必要ですので、脂質のない肉類換算で1日約1kgを食べる必要があります。
また、筋肉の合成、つまり食べたタンパク質のアミノ酸への分解⇒アミノ酸の筋肉への再合成、にはかなりの熱量が必要になり、目安は摂取したタンパク質量の3倍のカロリーが必要です。
つまり、上の例で1日1kg(純タンパク質200g)の場合、タンパク質のカロリーは1g=4kcalですので、200g×4kcalの3倍、つまり2400kcal分の脂質・炭水化物をタンパク質とは別に食べる必要があります。
具体的な1週間3回の筋トレプログラム
部位分割筋トレの意味と重要性
筋繊維の回復にはおよそ48~72時間の休養が必要となり、超回復前に再び筋肉に負荷を加えるとは避けなくてはなりません。
このため、全身を1日で全てトレーニングしてしまうと3日おきにしかトレーニングができず、あまり効率は良くありません。
そこで、全身の筋肉をいくつかのグループに分け、グループごとに1週間をかけてローテーションで鍛える部位分割トレーニング(スプリットメニュー)が考案され、実際に多くのスポーツ選手やトレーニーに採用されています。
筋肉のグループ分けと組み合わせ
全身の筋肉は、その作用によって次のようなグループに分けるのが一般的です。
上半身の押す筋肉:大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・前腕伸筋群
上半身の引く筋肉:広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋・前腕屈筋群
下半身の筋肉:臀筋群・大腿四頭筋・ハムストリングス・内転筋群・下腿三頭筋
そして、これらを週に1回ずつの合計3回でプログラムを組んでいくのがバルクアップ筋トレの基本プログラムです。
週1回目の筋トレ(上半身の押す筋肉)
①大胸筋メインのコンパウンド種目
などを5セット前後
②三角筋メインのコンパウンド種目
などを3セット前後
③上腕三頭筋メインのコンパウンド種目
などを3セット前後
週2回目の筋トレ(下半身の筋肉)
①大腿四頭筋メインのコンパウンド種目
などを5セット前後
②ハムストリングスメインのコンパウンド種目
などを3セット前後
余力があれば腹筋種目を数セット
週3回目の筋トレ(上半身の引く筋肉)
①広背筋メインのコンパウンド種目
などを5セット前後
②僧帽筋メインのコンパウンド種目
などを3セット前後
③上腕二頭筋メインのコンパウンド種目
などを3セット前後
主な筋肉の名称・作用と部位別筋トレ種目
主な筋肉の名称と作用、それぞれの部位別の筋トレ種目(自重・チューブ・ダンベル・マシン・バーベル)については下記のページをご参照ください。
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