2022/11/27 08:25
ベンチプレスの補助用品として必要不可欠なアイテムがリストラップですが、その正しい競技での使い方・巻き方はあまり知られていません。
そこで、競技用品を専門に扱う当店がパワーリフティング競技としてのベンチプレスでのリストラップの使用方法を解説するとともに、各メーカー別の強度比較実験をもとにおすすめするリストラップをご紹介します。
リストラップの正しい使い方
競技ベンチプレスの軌道を一枚の写真にし、この軌道におけるリストラップの働きを解説したのがこちらのものです。
人間の肩関節の構造上、旧来言われてきた「前腕を床と垂直にして挙上するベンチプレス」は最新の理論では「非効率」として否定されています。現在、もっとも支持されているのは「斜めに下ろして斜めに上げる軌道のベンチプレス」で、実際、記録のほとんどはこの理論で行われた挙上によって樹立されています。
※写真ベンチプレス世界王者による実演
この斜め挙上ベンチプレスを行うためには、写真のように手首を寝かせ、バーベル重量をリストラップに預ける必要があります。このため、競技としてのベンチプレスでは一般的なリストラップの強度では全くサポート力が足りず、専用に設計された高強度リストラップを装着することが必須になります。
また、リストラップの性能を確実に引き出すためには、正しい巻き方で装着することが必要不可欠です。
リストラップの正しい巻き方
リストラップの性能を引き出すためには、手首関節をまたぐようにリストラップを巻く必要があります。パワーリフティング(ベンチプレス競技)のルール規定では、手首ラインより2cm上までかぶせて巻くことが許可されています。
ジムなどでリストラップを手首関節ラインより下に巻いている人を見かけることも少なくありませんが、これでは全く意味がありませんのでご注意ください。
なお、鬼・GLFITで知られるIPF公認リストラップメーカー(株式会社ONI)よる、正しいリストラップの巻き方動画がこちらのものです。
その手順は
①サムループを親指に通す。
②引っ張りながら手の甲側(外巻き)または手の平側(内巻き)に巻いていく。
③一周目はしっかりと強く巻く。
④60~70cmタイプの場合、2周目で強度を調整する。
⑤90~99cmタイプの場合、3周目でさらに強度を調整する。
⑥しっかりとマジックテープを止めて固定する。
⑦サムループを外して完了。
になります。
リストラップの内巻きと外巻き
リストラップには内巻きと外巻きとがあり、それぞれの巻き方と特徴は以下の通りです。写真は、世界ベンチプレス王者の奥谷氏の実演によるものです。
①内巻き:手の平を手前に向けた状態で小指方向へ巻いていく。手首を立てた握り・真っ直ぐなグリップ(いわゆる古典的な軌道フォーム)に適している
②外巻き:手の甲を手前に向けた状態で小指方向へ巻いていく。手首を寝かした握り・八の字のグリップ(最新理論の挙上軌道)に適している。
なお、リストラップの内巻きと外巻きの使い勝手は、非常に個人差がある問題ですので、上記のスタンダードな分類にこだわらず、自分自身がもっとも使いやすくて重量が上がる巻き方向が正解と言えます。
メーカー別リストラップ強度比較実験
当店はパワーリフティングの専門用品を取り扱う「専門店」ですので、競技ベンチプレスに十分に使用できるリストラップだけを取り扱っています。また、メーカーの数値や記載をそのまま信用せず、実際に強度実験などを行い「専門店として自信を持っておすすめできるもの」だけを販売しています。
リストラップの強度(サポート力)を簡易的に調べるためには、1cmあたりの重量を測定するのが簡単です。
リストラップの強度は、ほぼゴム布の分厚さに比例しますので、軽いものはまず間違いなく不適合です。
リストラップ自体の重量に現れない要素が「ゴムの性能」で、これは写真のようなウエイト下垂実験をして確かめます。
サポート力の強いリストラップほどゴムが強力で、伸びにくい特性がありますので、このウエイト下垂実験を行うと一目瞭然です。
写真は鬼リストラップとゴールドジム・アイロテックなどの普及品との比較実験のものですが、あきらかに性能差があることがお分かりいただけると思います。
また、リストラップの耐久性は、ウエイトを数か月ぶら下げたままの状態にし、外した後の伸び率で計測します。写真は上のウエイト下垂状態で2か月放置した後に、ウエイトを取り外した状態の写真です。こちらも高品質品と普及品では、あきらかに耐久性に差があることがお分かりいただけるでしょう。
当店では2021年にVtrust社製リストラップをベースにオリジナルリストラップを、2022年にはLARA★STAR社製品を正規取り扱い開始していますが、もちろん、その度に品質確認実験をしています。
当店オリジナルリストラップは、普及品としてはもっとも高品質なゴールドジム製品とほぼ同等の素材を使用しています。なお、ゴールドジム製品は長さが45cmと短く、競技ベンチプレス(斜め挙上)でのサポート力は期待できません。
そこで、当店オリジナルリストラップは長さを60cmに延長し、100~120kgの競技ベンチプレス(斜め挙上)に耐えられる強度を確保しています。
また、2022年より正規取り扱いを開始した、北米に高いシェアを持つLARA★STARリストラップも、発売前に品質確認実験を行っており、その結果が上の写真です。
本製品は非常にサポート力が高い製品で、その強度はIPF公認品のなかでも高重量用に設計されている鬼リストラップXXと遜色ないレベルです。
初心者(ベンチプレス100kg前後)におすすめのリストラップ
初心者にまずおすすめなのが、IPF公認品ながらも「あえて初心者~中級者にシフトした設計」のGLFITリストラップです。IPF公認の鬼リストラップよりもやや軟らかめに作られており、扱いやすいのが特徴です。また、独自のメッシュ構造の織り方により耐久性が高いのも魅力です。
IPF公認品にこだわらないのであれば、リーズナブルな価格に設定された当店オリジナルリストラップがおすすめです。普及品にはない60cmの長さが高いサポート力を発揮します。
こちらは鬼XXに近い性能を持ちながら、海外OEM工場から直接仕入れのためリーズナブルに提供できている、当ショップオリジナルのリストラップです。IPF公認にこだわらず屈強なリストラップをお求めの方におすすめです。
中級者(ベンチプレス120kg前後)におすすめのリストラップ
中級者におすすめのリストラップは、定番中の定番で日本トップレベル選手にも愛用者が多い鬼リストラップ60cmです。その性能と評価の高さは今さら解説するまでもないでしょう。なお、99cmタイプは上級者(ベンチプレス150kg以上)向きです。
IPF公認品にこだわらないのであれば、鬼リストラップよりもサポート力の高いLARA★STARリストラップがおすすめです。本製品は当店が日本での普及を担っており、まずはブランドを広めるためにほぼ利益なしの価格で販売しておりますので、たいへんお買い得です。
上級者(ベンチプレス150kg以上)におすすめのリストラップ
現在のリストラップで最高峰とも言えるのが鬼リストラップXXです。これ以上ない強力なサポート力で世界選手権でも多用されています。固いリストラップにありがちな「密着度の低さ」をカバーするために内側に3本のゴムが配置されている「競技専用設計」です。70cmと99cmがあります。200kgオーバーのベンチプレスには本リストラップの99cm一択になってくると言っても過言ではないでしょう。
各リストラップの入手先
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