2024/06/29 04:59
大胸筋の仕上げ種目として最適なダンベルフライの細マッチョを目指すためのやり方・動作ポイントと適切な負荷回数設定について、元五輪強化指定選手で現フィジーク選手が解説します。
この記事の執筆・監修者
HAYATE選手
五輪種目テコンドー元強化指定選手(全日本選手権準優勝2回)
2023年フィジーク競技転向デビュー戦優勝
本種目が効果のある筋肉部位
筋肉の名前と鍛え方|名称図鑑|部位別の筋トレ種目(ウエイトトレーニング)一覧
本種目は主に大胸筋に効果があり、特に大胸筋内側に対して効果的です。なお、細マッチョ体型を目指すトレーニングの場合、次の項目の基準に従って鍛える筋肉部位ごとに負荷回数設定を決める必要があります。
細マッチョを目指すために適切な負荷設定
細マッチョの代表格とも言えるフィジーク選手のコンテスト審査基準は、ボディービル競技と違い過度な筋肥大がNGとされている筋肉部位があり、その基準の体型が標準的な細マッチョ体型とされています。具体的には下記の一覧の通りです。
過剰な発達がNGとされる筋肉部位:大胸筋・上腕三頭筋・僧帽筋・下半身の筋肉
発達がしているほうが良い筋肉部位:広背筋・三角筋・上腕二頭筋・腹筋群
筋肉(骨格筋)を構成する筋繊維には以下のタイプがあり、どの程度筋肥大を狙うかで適切な負荷回数設定が異なります。
①筋繊維タイプ1(持久筋):鍛えてもほとんど筋肥大しない|腹筋・下半身など引き締めたい筋肉部位|20回前後の反復で鍛える
②筋繊維タイプ2a(弱い瞬発筋):鍛えるとやや筋肥大する|過剰な発達がNGな筋肉部位が対象|15回程度の反復で鍛える
③筋繊維タイプ2b(強い瞬発筋):鍛えると強く筋肥大する|筋肥大させたい筋肉部位が対象|10回程度の反復で鍛える
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本種目の細マッチョ向き負荷回数設定
本種目は、細マッチョの定義やフィジーク競技の基準を考慮し、②筋繊維タイプ2aをターゲットに15回の反復で限界がくる負荷設定で実施するのが適切です。
本種目のやり方
①ベンチに仰向けになり、胸の上で肘を伸ばしダンベルを構える
②肩甲骨を寄せ、肘を伸ばしたまま腕を開き、ダンベルをできるだけ深く下ろす
③肩甲骨が開かないように気をつけ、腕を胸の上で閉じる
フィジーク選手のポイント解説
筆者の場合、ダンベルフライはプレス系トレーニングの後の仕上げ種目として行っています。本種目で筋肥大を目指すのではなく、切れを出す、特に大胸筋内側の凹凸を出すことを主眼にしており、ストリクトなフォームで完全にウエイトをコントロールできる重量設定で行っています。
本種目は、「肩が痛くなる」や「肩に効いてしまう」という声が多い、やや難易度の高い種目ですが、これらには主に4つの原因(間違ったフォームや設定)があります。それらを以下にまとめましたので、ご自身のフォームや設定を再チェックしてみてください。
①ダンベルを下ろす位置が悪い
ダンベルフライが肩に効いてしまうケースでは、そもそもダンベルを下ろす位置が悪いことも原因として多く見られます。
脇を開きすぎる、つまり体軸と上腕の角度が90度以上になると、肩関節に強い負荷がかかってしまいます。
そのことを意識し、ダンベルは肩のラインよりもややヘソ寄りに下ろすようにすることで、かなり改善することができます。
この図のように、逆八の字にダンベルをグリップすると、自然と上腕の体幹に対する角度が90度よりも鋭角になりますので、一度お試しください。
②肩甲骨を寄せきれていない
ダンベルプレスが肩に効いてしまう理由として、もっとも多いのが「肩甲骨を寄せきれていない」というものです。
肩甲骨を寄せきれていないと、広義の肩関節(胸鎖関節・肩鎖関節・肩甲胸郭関節)が後ろに引かれず、「前方に残ったまま」の状態になります。
そして、この状態のままだと狭義の肩関節も前方に出た状態となり、そのままダンベルプレスを実施すると肩関節に強い負荷がかかってしまいます。
ですので、ダンベルプレスを実施する場合は、構えてから再度しっかりと肩甲骨を寄せるイメージで体勢をつくるようにします。
肩甲骨を寄せるのが苦手な方は、このようなスパインサポーターを使って肩甲骨を寄せる補助にするとよいでしょう。
③そもそも重量設定が重すぎる
ダンベルフライは、さまざまな胸トレーニング種目のなかでも、特に効かせるのが難しい種目ではありません。
しかしながら、初心者の方によくあるケースが「重すぎる重量で行っている」というものです。
ウエイトトレーニングは、結果を焦るとついつい重量を重くしがちですが、特にダンベルフライは最大進展・最大収縮で効かせることが重要な種目ですので、重すぎる重量で中間位置で反復してもあまり効きません。
しっかりと深く下ろしてもコントロールできる重量設定で行いましょう。
④特に最大収縮ができていない
ダンベルフライは深く下ろすことで大胸筋を最大伸展させられます。完全にコントロールできる重量設定で行う場合、最大進展ができていないとあうケースは少ないでしょう。
逆に、最大収縮ができていないケースは多く見られます。
ダンベルを胸の前まで上げるだけでは、大胸筋はある程度は収縮しますが最大収縮はしません。
大胸筋の作用は「腕を閉じて前に押し出す」ですが、ただダンベルを胸の上に戻すだけでは「腕を閉じただけ」になります。
つまり、腕を閉じたポジションで、少しダンベルを押し上げる動作を加えることで大胸筋が完全に最大収縮します。
この動作を加えるか否かで、ダンベルフライの効き方は大きく変わってきます。
本種目のバリエーション
インクラインダンベルフライ
インクラインベンチを使い、斜め上に腕を閉じるバリエーションで、大胸筋上部内側に負荷がかかります。
デクラインダンベルフライ
デクランベンチを使い、斜め下に腕を閉じるバリエーションで、大胸筋下部内側に負荷がかかります。
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