2024/06/23 07:09
下半身の基本筋トレである自重スクワットの細マッチョを目指すためのやり方・動作ポイントと適切な負荷回数設定について、元五輪強化指定選手で現フィジーク選手が解説します。
この記事の執筆・監修者
HAYATE選手
五輪種目テコンドー元強化指定選手(全日本選手権準優勝2回)
2023年フィジーク競技転向デビュー戦優勝
本種目が効果のある筋肉部位
筋肉の名前と鍛え方|名称図鑑|部位別の筋トレ種目(ウエイトトレーニング)一覧
本種目は主に大腿四頭筋・臀筋群・ハムストリングス・内転筋群・下腿三頭筋など下半身の筋肉全体に効果があります。また、二次的に腹筋群・腸腰筋群・脊柱起立筋など体幹インナーマッスルにも効果があります。なお、細マッチョ体型を目指すトレーニングの場合、次の項目の基準に従って鍛える筋肉部位ごとに負荷回数設定を決める必要があります。
細マッチョを目指すために適切な負荷設定
細マッチョの代表格とも言えるフィジーク選手のコンテスト審査基準は、ボディービル競技と違い過度な筋肥大がNGとされている筋肉部位があり、その基準の体型が標準的な細マッチョ体型とされています。具体的には下記の一覧の通りです。
過剰な発達がNGとされる筋肉部位:大胸筋・上腕三頭筋・僧帽筋・下半身の筋肉
発達がしているほうが良い筋肉部位:広背筋・三角筋・上腕二頭筋・腹筋群
筋肉(骨格筋)を構成する筋繊維には以下のタイプがあり、どの程度筋肥大を狙うかで適切な負荷回数設定が異なります。
①筋繊維タイプ1(持久筋):鍛えてもほとんど筋肥大しない|腹筋・下半身など引き締めたい筋肉部位|20回前後の反復で鍛える
②筋繊維タイプ2a(弱い瞬発筋):鍛えるとやや筋肥大する|過剰な発達がNGな筋肉部位が対象|15回程度の反復で鍛える
③筋繊維タイプ2b(強い瞬発筋):鍛えると強く筋肥大する|筋肥大させたい筋肉部位が対象|10回程度の反復で鍛える
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本種目の細マッチョ向き負荷回数設定
本種目は、細マッチョの定義やフィジーク競技の基準を考慮し、②筋繊維タイプ2aをターゲットに15回の反復で限界がくる負荷設定で実施するのが適切です。
本種目のやり方
①足を肩幅程度に開き、背すじを伸ばして構える
②膝がつま先より前に出ないように注意し、やや斜め後ろに腰を下ろす
③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに立ち上がる
フィジーク選手のポイント解説
過度に筋肥大された下半身の筋肉はフィージーク競技ではNGとされていますので、高い負荷をかけて脚を筋肥大させる必要はありませんが、かといって、全く鍛えないと上半身の発達が頭打ちになることが知られています。
ですので、週1回程度の頻度で、中負荷で刺激を入れていきます。その意味では、自重スクワットは手軽に取り組めてとても便利な種目です。
動作ポイントとしては、膝がつま先よりも前に出ないように(ヒップヒンジ)、やや腰を引くような感じで斜め後方にしゃがんでいくのが基本です。また、腰を下ろす深さは太ももが床と平行になる程度でよく、それ以上深くしゃがんだり、反動を使って反復動作をおこなったりすると膝に負担がかかりますので注意してください。また、背すじを伸ばして肩甲骨を寄せた姿勢(ニュートラルスパイン&スラック)も重要で、このためにはやや斜め上方を見る意識をすると上手くいきます。
本種目を正しいフォーム(膝をつま先より前に出さないフォーム)で行うためには、股関節の柔軟性が大切ですが、上手くしゃがめないという方はとりあえずの対策として、1cmほどの板の上にかかとを乗せて実施すると良いでしょう。
長期的には、やはり股関節ストレッチなども取り入れて柔軟性を高めていくことも重要です。
ニュートラルスパイン・ヒップヒンジ・スラック
スクワットの姿勢で気をつける要素には3要素あり、それがニュートラルスパイン・ヒップヒンジ・スラックです。
ニュートラルスパイン:胸を張り背中(背骨)がまっすぐな状態
ヒップヒンジ:お尻を突き出し(骨盤を後ろに傾け)膝より前につま先がある状態
スラック:顎を上げ肩甲骨を引き寄せた状態
そして、この3つの要素がしっかりと揃った状態・体勢でスクワットを行うのが基本です。
本種目のバリエーション
シシースクワット
シシースクワットは、大腿四頭筋に集中的な負荷がかかるバリエーションです。
①足を肩幅程度に開き、片手で柱などを保持して構える
②後傾姿勢を作り、のけぞるような体勢で膝を曲げていく
③膝の角度が直角程度になるまでしゃがんだら、反動を使わずに膝を伸ばして立ち上がる
本種目は、フリーハンドで行うと後ろに転倒するリスクがありますので、片手で柱などを保持して行うようにしてください。また、ダイレクトに大腿四頭筋に負荷を伝えるためには、太ももを平行にし、つま先を正面に向け、膝の向きもつま先と合わせるようにすることが大切です。
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットはハムストリングスに有効なバリエーションです。
①片足を前に、片足を後ろの台などに乗せて、胸を張り背すじを伸ばして構える
②前足の膝がつま先より前に出ないように気をつけ、やや斜め後ろに腰を下ろす
③前足の太ももが床と平行になるまで腰を下ろしたら、効かせたいほうの脚を主体にして立ち上がる
本種目は、膝を痛めないためにも、前にした足の膝がつま先より前に出ないように注意することが大切です。また、前にした脚を主体にして動作すると大腿四頭筋に、後ろにした脚を主体にして動作するとハムストリングスに負荷がかかります。
ワイドスクワット
ワイドスクワットは内転筋群に負荷を加えられるバリエーションです。
①足を大きく開いてつま先を外に向け、背すじを伸ばして構える
②膝をつま先の向きに合わせるように気をつけ、真下に腰を下ろす
③太ももが床と平行になるまで腰を下ろしたら、反動を使わずに立ち上がる
本種目は、内転筋群に適切に負荷を加えるために、なおかつ、膝関節の保護のために、膝の向きとつま先の向きを揃えることが大切です。また、一般的なスクワットと違い、真下に腰を下ろすことがポイントです。
サイドランジ
サイドランジは内転筋群に有効なバリエーションです。
①足を大きく開き、つま先を外に向け、背すじを伸ばして構える
②片側の膝の向きをつま先の向きと揃え、膝を曲げて横方向に腰を下ろす
③曲げたほうの脚の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、伸ばしたほうの脚で身体を引き寄せるようにして立ち上がる
本種目は、膝関節を保護するために膝の向きとつま先の向きを揃えることが大切です。また、伸ばしたほうの脚を主体にして立ち上がると内転筋群に、曲げたほうの脚を主体にして立ち上がると大腿四頭筋に負荷がかかります。
フロントランジ
フロントランジはハムストリングスに負荷を加えることができるバリエーションです。
①足を前後に大きく開き、胸を張り背すじを伸ばして構える
②前足の膝がつま先より前に出ないように気をつけ、真下に腰を下ろす
③前足の太ももが床と平行になるまで腰を下ろしたら、効かせたいほうの脚を主体にして立ち上がる
本種目は、膝を痛めないためにも、前にした脚の膝がつま先より前に出ないように注意することが大切です。また、前にした脚を主体にして動作すると大腿四頭筋に、後ろにした脚を主体にして動作するとハムストリングスに負荷がかかります。
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