2024/06/25 08:52
細マッチョを目指すならば、当然目標とするのが「逆三角形の体型」です。このために、重点的に鍛えるべき筋肉部位と、その筋トレメニューについて元五輪強化指定選手で現フィージーク選手が解説します。
なお、解説する筋トレ種目は、自宅でも取り組むことができる自重トレーニングとダンベルトレーニングから厳選しました。
この記事の執筆・監修者
HAYATE選手
五輪種目テコンドー元強化指定選手(全日本選手権準優勝2回)
2023年フィジーク競技転向デビュー戦優勝
逆三角形体型になるために鍛える筋肉部位
逆三角形体型になるために鍛えるべき筋肉と理由は以下の通りです。
三角筋:広い肩幅を作る
広背筋:逆三角形の背中を作る
腹筋群:引き締まった腹部を作る
なお、三角筋と広背筋は筋肥大(バルクアップ)を狙うために8~10回で反復限界がくる高負荷設定で行い、引き締めたい腹筋群は15~20回で反復限界がくる低負荷設定で鍛えていくのが定石です。
三角筋の筋トレメニュー
パイクプッシュアップ
パイクプッシュアップのやり方の手順
①うつ伏せになり、手と足を広く置き、腰を大きく曲げて構える
②肩甲骨をしっかりと寄せた状態をキープしたまま上半身を斜め前に下ろす
③肩甲骨を寄せたまま、腕を押し出して上半身を斜め後ろに押し上げる
フィジーク選手のポイント解説
本種目で意識するべきポイントは、肩甲骨をやや開いた状態で動作を行うことで、これにより負荷が大胸筋に集中せず三角筋に入ります。
ただし、このやり方は肩関節に対する負荷が大きいというリスクも含んでいるため、上図のように肘と肘を結んだラインが背面側に入らないギリギリの位置で行います。肘が背面側に深く入ってしまうと、肩関節に開き負荷がかかってしまうので十分に注意してください。
ダンベルサイドレイズ
ダンベルサイドレイズのやり方の手順
①直立し、肘を伸ばして身体の横でダンベルを構える
②上半身を後ろに倒さないように気をつけ、腕を横に上げる
③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る
フォームのポイント
本種目は、上半身を倒さないようにすることが重要です。また、肩甲骨を寄せる動作を加えると、負荷が背筋群に逃げてしまいますので注意が必要です。また、やや前よりに腕を上げる軌道で行うことで、三角筋前部に効かせることも可能です。
広背筋の筋トレメニュー
懸垂
懸垂(チンニング)のやり方の手順
①肩幅よりも広くバーをグリップして構える
②肩甲骨を寄せながら、胸をバーにつけにいくフォームで身体を引き上げる
③身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せきり、背筋群を完全収縮させる
④ある程度筋力でコントロールして身体を下ろす
フィジーク選手のポイント解説
懸垂の基本は、肩甲骨を完全に寄せきる位置まで身体を引き上げることですが、これは格闘技やボディビルでは正解です。しかしながら、フィジーク競技=細マッチョ体型を目指す場合には、肩甲骨を完全に寄せきることで「僧帽筋が過度に発達してしまう」という弊害が発生するので注意が必要です。
懸垂によって負荷がかかる筋肉は、動作の順に以下のようになります。
ぶら下がった位置から肘が90度になるまで:上腕二頭筋
肘が90度から胸がバーの高さになるまで:広背筋
顎がバーより上にでるまで:僧帽筋
このため、細マッチョ体型を目指して懸垂を行う場合、最終段階の「顎がバーより上にでる」ところまで身体を引き上げる必要はありません。
だからと言って、全く肩甲骨を寄せずに懸垂を行うと、負荷の大部分は上腕二頭筋に集中してしまい、肝心の広背筋に強い刺激を入れることができませんので、それにも注意する必要があります。
ダンベルローイング
ダンベルローイングのやり方の手順
①片手をベンチにつき、片手でダンベルを保持し、前傾姿勢を作って構える
②肩甲骨を寄せながらダンベルを引いていき、引ききったポジションで肩甲骨を寄せきって背筋群を完全に収縮させる
③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る
フォームのポイント
本種目は、肩甲骨を寄せながら腕を引き、引ききったポジションで肩甲骨を寄せきることが大切です。肩甲骨を寄せずに動作を行うと、負荷が上腕二頭にばかりかかってしまうので注意してください。また、より可動範囲の広いワンハンドダンベルローイングの方が広背筋に的確に刺激を入れることができます。
腹筋群の筋トレメニュー
クランチ(シットアップ)|腹直筋上部に効果的
クランチ(シットアップ)のやり方の手順
①仰向けになり、膝を立てて構える
②息を吐きながら、反動を使わずに上半身を起こしていき、上半身を起こしたら息を吐ききり腹直筋を最大収縮させる
③効かせながら元の体勢に戻る
フィジーク選手のポイント解説
クランチ・シットアップ系トレーニングでは、いかに腹直筋を完全収縮させるかが重要なポイントになります。上半身を起こしながら息を吐いていき、フィニッシュポジションでは完全に息を吐き切ります。また、この時に顎を引くことで腹直筋は完全収縮するのですが、具体的には「自分のヘソを見る」と覚えておいてください。
また、上半身を下ろした位置で背中をべったりと全て床につけると負荷が抜けて効果が薄くなります。かと言って、折り返し位置で上半身を反動でバウンドさせるような動作を繰り返すと腰を痛めてしまいますので、折り返しポジションでは動作スピードを緩め完全にコントロールした動きを心がけます。
レッグレイズ|腹直筋下部に効果的
レッグレイズのやり方の手順
①床に仰向けになって構える
②反動を使わずに、息を吐きながら足を上げていき、足を上げたら息を吐ききり腹直筋下部を最大収縮させる
③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る
フィジーク選手のポイント解説
繰り返しになりますが、腹筋トレーニングでもっとも意識するべきことは「腹筋群をいかに完全収縮させて追い込むか」です。このため、本種目も息を吐きながら足を上げていき、足を上げた位置で息を吐き切る+顎を引いてヘソを見るというのがポイントです。
もちろん、本種目も途中で足を床につけたり、反動を使って折り返さず、完全に筋肉をコントロールして実施します。