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2024/07/03 12:28


参照元記事:https://www.sfphes.org/2019/09/leftmiddlekick.html

格闘技の世界では「左を制する者が勝つ」と言われるほど左ミドルキックは重要です。特にスイッチしない蹴り方(前足でそのまま蹴る)とそこからの変化技は重要で、その蹴り方をフルコンタクト空手出身で五輪種目テコンドーの元強化指定選手が解説します。

 

この記事の監修者

HAYATE選手プロフィール

 

テコンドー主戦績

全日本選手権東日本地区大会3位
全日本選手権東日本地区大会優勝
全日本学生選手権準優勝
全日本選手権準優勝

 

HAYATE選手と言えばその世界では「居合斬りの左ハイ」と言われるほど、前足でのスピードハイキックが得意な選手です。まずは、その代表的な左ハイキックをご覧ください。

 

左ミドルキックの2つの重要性

①レバーに強い打撃を加えられる

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ミドル=中段の最大の弱点はレバーです。なぜならば、そこには肝動脈・静脈があり心臓と直結しているため、強い打撃が入ると相手に大きなダメージを加えることができるからです。

 

そして、レバーは身体の右側にあるため、左脚または左拳でしか攻撃できません。また、拳での攻撃よりも脚の蹴りによる攻撃のほうがはるかに打撃力が高く、左ミドルキックはボディへの攻撃のなかでも最高の威力を持っています。

 

 

この動画はHAYATE選手がまだ中学1年生ながら国のジュニア強化指定選手だった頃のスパーリング風景です。的確な角度とタイミングでレバーへのミドルキックを決めると、100kg超級の大人の選手でも簡単に倒せてしまうことがお分かりいただける動画です。

 

②左ハイキックへの伏線になる

 

こちらの動画はHAYATE選手が高校生のジュニア指定強化選手だった頃のスパーリング風景です。先に解説したように、左ミドルキックは相手に強い警戒心を抱かせるため、あらかじめ何発か左ミドルキックを蹴っておくことで、相手のボディガードの意識が高まり、結果として頭部防御の意識が薄れてしまいます。

 

その状態で、左ミドル軌道で始まる変化上段蹴りを蹴ると、簡単に相手の頭部をヒットすることが可能です。

 

 

こちらの動画は、HAYATE選手のオリジナル技である左脚爪蹴の練習の様子(中学生ジュニア時代から練習開始)と全日本高校生メダルマッチでの試合において実際に決めた時の様子です。

 

この技は、かなり複雑で、レバー蹴り(左ミドル)の軌道から始まり、跳ね上げての左ハイに変化し、そこからさらに前方に伸ばして爪先での打突蹴りになります。

 

スイッチしない左ミドルキックの意味と蹴り方

 

スイッチしない左ミドルキックとは、通常の右利き構え(左脚が前で右足が後ろ・軸足)からそのまま打つ左ミドルキックで、初心者には非常に蹴りにくい蹴り方ですが、相手に近く最短距離で当てられるため、相手にとっては非常にやっかいな攻撃になります。

 

それが、スイッチせずに左ミドルキックを蹴る意味です。

 

打撃攻撃の威力は、重さ×スピードの二乗に比例します。スイッチしない左ミドルキックは、後ろ足から蹴る場合に比べ、腰を入れにくいため蹴り自体の重さが出せない蹴りです。

 

このため、スピードを出すことでこれをカバーします。

 

スピードを出すためには、膝をたたまず、サッカーボールを蹴るように蹴り上げるのがもっとも効果的です。

 

 

また、ミドルキックの威力を上げるためには、蹴りの入射角も非常に重要で、この角度はレバーをカバーしている肋骨に対して垂直入射、つまり斜め下から45度の角度で蹴り上げることが必要になります。これにより、全ての打撃力を逸れることなく直撃させることが可能です。

 

また、連続で蹴るために、蹴り終わった左足は元に戻さず、そのまま床に下ろし、床での反発力(左足の跳ね返り)を利用して再びリズムよく蹴っていきます。


なお、本記事の内容を動画にまとめたものが下の動画です。あわせて、ご参照ください。




強烈な打撃にはフィジカルも重要

※JOC強化指定選手時の実際のHAYATE選手の身体つき

 

相手を一撃でKOするような強烈な打撃を打つためには、技術的なことだけでなく、原動力となる強いフィジカル要素も必要で、そのためには筋力トレーニングは不可欠です。打撃格闘技に特化したトレーニング方法については下記の記事をご参照ください。

 

【五輪強化指定選手解説】打撃格闘技(空手・キックボクシングなど)に必要な筋肉と筋トレメニュー

 

五輪元強化指定選手監修の格闘技記事


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