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2024/06/16 05:33

参照元記事:https://www.sfphes.org/2022/07/blog-post_118-4.html

 

空手・キックボクシング・テコンドーなど打撃格闘技に必要となる筋肉部位と、それぞれの効果的な筋トレメニューについて、フルコンタクト空手出身で五輪種目テコンドーの元強化指定選手(全日本選手権準優勝2回)のHAYATE選手が解説します。

 

※写真は強化指定選手時の執筆者の実際の身体の状態です。

 

執筆者情報

五輪競技テコンドー2020・2021全日本メダリスト・指定強化選手

 

上岡颯

 

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公式記事

 

【テコンドー部】第13回全日本テコンドー選手権大会で表彰台席巻(大東文化大学)

 

全日本テコンドー選手権・上岡選手が準優勝・伊勢出身(毎日新聞)

 

第13回全日本テコンドー選手権大会 結果(全日本テコンドー協会|PDF)

 

全日本大学生選手権での動画


環太平洋選手権での動画

 

打撃格闘技に特に重要な筋肉部位

 

上図は、打撃格闘技にとって特に重要となる筋肉をわかりやすく図解したものです。それぞれの筋肉の打撃格闘技における働きは次の通りです。

 

表層筋|アウターマッスル

 

胸の筋肉|大胸筋:突き(パンチ)の加速に作用します。

 

背中の筋肉|広背筋:突き(パンチ)の威力増幅に作用します。

 

肩の筋肉|三角筋:突き(パンチ)の加速に作用します。

 

腕の筋肉|上腕三頭筋:突き(パンチ)の加速に作用します。

 

腕の筋肉|上腕二頭筋:突き(パンチ)の打撃押し込みに作用します。

 

腕の筋肉|前腕筋群:突き(パンチ)の最終加速に作用します。

 

太ももの筋肉|大腿四頭筋:蹴り(キック)の威力増幅に作用します。

 

太ももの筋肉|ハムストリングス:蹴り(キック)の軸足安定に作用します。

 

お尻の筋肉|臀筋群:ハムストリングスと協働して軸足の安定に作用します。

 

ふくらはぎの筋肉|下腿三頭筋:全ての動作の軸足安定に作用します。

 

深層筋|インナーマッスル

 

腸腰筋群:蹴り足を上げる主働筋として作用します。

 

内転筋群:蹴り足のブレをなくすのに作用します。

 

腹筋群:蹴り(キック)の体幹での加速(捻り動作)に作用します。

 

脊柱起立筋:腹筋群と協働して捻り動作を作用します。

 

回旋筋腱板:下半身・体幹で発生した突き(パンチ)の威力を腕にロスなく伝えるために作用します。

 

 

なお、全身の主な筋肉名称と作用についての詳細な情報は、下記の筋肉解説ページをご参照ください。

 

筋肉の名前と鍛え方|名称図鑑|部位別の筋トレ種目(ウエイトトレーニング)一覧

 

打撃格闘技における筋トレの重要性

 

打撃格闘技における主な2つの技と言えば、パンチとキックです。それぞれ、上半身と下半身を使った攻撃ですが、効果的な打撃とするためには軸足で発生させたパワーを、体幹を経由して末端へ増幅させながら伝達させる必要があります。つまりパンチであれば拳、キックであれば足に全身の力を集約しなくてはいけません。

 

このためには、関わる全身の筋肉をくまなく筋トレで強化していくことが必須で、どこか弱い部分があれば、そこがボトルネックとなり100%の打撃を発揮することはできないのです。

 

 

 

そうして、筋トレによって鍛えられた各筋肉の連動性を、技動作の反復練習やスパーリングなどによって高めていき、最終的に試合で使える技となるのです。

 

それでは、次の項目からは、打撃格闘技に必要な各筋肉部位の具体的なトレーニング方法を、自宅でも取り組むことができるダンベルトレーニングを中心としてご紹介していきます。

 

大胸筋のトレーニング

ダンベルプレス

 

ダンベルプレスのやり方の手順

①ベンチに仰向けになり、胸の上で肘を伸ばしダンベルを構える

 

②肩甲骨を寄せたまま、ダンベルをできるだけ深く下ろす

 

③肩甲骨が開かないように気をつけ、ダンベルを胸の上に押し上げる

 

フォームのポイント

本種目は、肩甲骨をしっかりと寄せたまま動作を行うことが大切です。肩甲骨を寄せずに動作を行うと、負荷が大胸筋にかからず三角筋にかかってしまうので注意してください。

 

広背筋のトレーニング

ダンベルローイング

 

ダンベルローイングのやり方の手順

①片手をベンチにつき、片手でダンベルを保持し、前傾姿勢を作って構える

 

②肩甲骨を寄せながらダンベルを引いていき、引ききったポジションで肩甲骨を寄せきって背筋群を完全に収縮させる

 

③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、肩甲骨を寄せながら腕を引き、引ききったポジションで肩甲骨を寄せきることが大切です。肩甲骨を寄せずに動作を行うと、負荷が上腕二頭にばかりかかってしまうので注意してください。

 

三角筋のトレーニング

ダンベルアップライトロウ

 

ダンベルアップライトロウのやり方の手順

①直立し、肘を伸ばしてダンベルを保持して構える

 

②肘を先行させ、肩甲骨を寄せないように気をつけてダンベルを引き上げる

 

③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、手よりも肘を先行させて動作することと、肩甲骨を寄せないようにすることが大切です。これらいずれかが不十分だと、三角筋ではなく背筋群に負荷が逸れてしまうので注意してください。

 

上腕三頭筋のトレーニング

ダンベルキックバック

 

ダンベルキックバックのやり方の手順

①片手をベンチにつき、片手でダンベルを保持し、前傾姿勢を作って構える

 

②肘の位置を動かさないように注意し、肘を伸ばしてダンベルを上げる

 

③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、肘の位置を動かさないようにすることが大切で、肘を前後に動かしてしまうと背筋群に負荷がそれてしまうので注意が必要です。また、肘を伸ばしたポジションで、手の平が上を向くように前腕を回内回旋することで、さらに強く筋肉を収縮させることができます。

 

上腕二頭筋のトレーニング

ダンベルカール

 

ダンベルカールのやり方の手順

①ダンベルを両手に保持して構える

 

②肘の位置を固定し、腕を曲げてダンベルを引き上げる

 

③ゆっくりと元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、肘の位置を動かさないようにすることが大切で、肘が前後してしまうと負荷が背筋群にそれてしまいますので注意してください。また、腕を曲げたポジションで、小指が上を向き方向に前腕を回外させると、上腕二頭筋短頭が強く収縮します。

 

前腕筋群のトレーニング

ダンベルリストカール

 

ダンベルリストカールのやり方の手順

①ベンチに座り太ももの上に前腕を乗せ、ダンベルを保持して構える

 

②手首を伸ばした状態から、手首動作だけでダンベルを上げていく

 

③ゆっくりと効かせながら元に戻る

 

フォームのポイント

本種目でもっとも大切なポイントは、上腕二頭筋や背筋群など他の連動する筋肉を動員せず、前腕筋群だけで動作を行うようにすることです。このためには、前腕をしっかりと太ももの上で固定するとともに、ゆっくりとコントロールされた動きで実施する必要があります。

 

回旋筋腱板のトレーニング

ダンベルインターナルローテーション

 

ダンベルインターナルローテーションのやり方の手順

①ベンチに横になり肩から上腕をベンチに乗せて固定し、肘を90度に曲げてダンベルを保持して構える

 

②前腕が垂直い位置からスタートし、ゆっくりと前腕が水平位置までダンベルを下ろす

 

③反動を使わずゆっくりと元の位置に戻る

 

フォームのポイント

本種目でもっとも重要なポイントは、三角筋や広背筋など回旋筋腱板と連動する筋肉の関与を避けることです。このためには、肩から上腕をしっかりと固定するとともに、ゆっくりとコントロールした動きで実施することが大切です。

 

腹筋群のトレーニング

ダンベルクランチ

 

ダンベルクランチのやり方の手順

①仰向けになり、頭の後ろや胸の前でダンベルを保持して構える

 

②息を吐きながら上半身を上げていき、上げたら息を吐ききって腹直筋を強く収縮させる

 

③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、本種目は、運動動作に適切な呼吸動作を加えることで筋肉に強い負荷を加えることができます。息を吐きながら動作を行い、フィニッシュポジションで息を吐ききるとともに、あごをやや引いて腹筋群を完全収縮させてください。

 

脊柱起立筋のトレーニング

ダンベルデッドリフト

 

ダンベルデッドリフトのやり方の手順

①足を肩幅程度に置き、その外側でダンベルを保持して構える

 

②胸を張り、直立するまでダンベルを引き上げていき、引き上げたら肩甲骨をしっかりと寄せて背筋群を強く収縮させる

 

③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、背中が丸まらないようにすることが大切で、このためには胸を張り、背すじを伸ばし、やや上方に視線を向けることがポイントです。

 

腸腰筋群のトレーニング

ダンベルレッグレイズ

 

ダンベルレッグレイズのやり方の手順

①仰向けになり、足首にダンベルを挟んで保持して構える

 

②息を吐きながら足を上げていき、足を45度程度上げたら息を吐ききって腹直筋を強く収縮させる

 

③ゆっくりと効かせながら元の体勢に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、運動動作に適切な呼吸動作を加えることで筋肉に強い負荷を加えることができます。息を吐きながら動作を行い、フィニッシュポジションで息を吐ききるとともに、あごをやや引いて腹筋群・腸腰筋群を完全収縮させてください。また、セット中に足を床に置かないようにすることで、腹筋群・腸腰筋群に対する負荷が抜けなくなるので強度が向上します。

 

大腿四頭筋のトレーニング

ダンベルスクワット

 

ダンベルスクワットのやり方の手順

①足を肩幅程度に開き、ダンベルを足の外側で保持して、背すじを伸ばして構える

 

②膝がつま先より前に出ないように注意し、やや斜め後ろに腰を下ろす

 

③太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、反動を使わずに立ち上がる

 

フォームのポイント

本種目は、膝関節保護のために、膝をつま先より前に出ないように注意することが大切です。また、背中が丸まらないようにすることも大事で、これを防ぐためには斜め上に目線を置いて、背すじを伸ばすことがポイントです。

 

臀筋群・ハムストリングスのトレーニング

ダンベルレッグカール

 

ダンベルレッグカールのやり方の手順

①うつ伏せになり、足首にダンベルを挟んで構える

 

②股関節を動かさないように気をつけ、膝を曲げる

 

③ゆっくりと効かせながら元に戻る

 

フォームのポイント

本種目は、股関節を動かさないようにすることが大切で、股関節を前後に動かしてしまうと負荷が体幹部にそれてしまいますので注意してください。また、本種目は膝を曲げてダンベルを持ち上げるときのコンセントリック収縮(短縮性収縮)も大切ですが、それ以上に負荷に耐えながらゆっくりと元に戻るときのエキセントリック収縮(伸張性収縮)が重要です。

 

内転筋群のトレーニング

ダンベルサイドランジ

 

ダンベルサイドランジのやり方の手順

①大きく横に足を開き、ダンベルを保持して構える

 

②片側の脚を曲げ、横方向にスライドしながらしゃがむ

 

③伸ばしたほうの脚で引き寄せるようにして元の位置に戻り、反対側にしゃがんでいく

 

フォームのポイント

本種目は、伸ばしたほうの脚に意識を置き、その足で身体全体を引き寄せるようにして立ち上がることで効率的に内転筋群に負荷を加えることができます。なお、曲げるほうの脚の膝は、つま先と方向を揃え、なおかつ膝がつま先より前に出ないように注意してください。

 

下腿三頭筋のトレーニング

ジャンプメソッド

 

下腿三頭筋(ふくらはぎ)は日常での使用頻度が高く、負荷に対して非常に強い耐性があるため、通常のウエイトトレーニングでは強化しにくいことが知られています。

 

このため、その発達のためには爆発的な負荷を加えることが必要で、ジャンプメソッドと呼ばれるトレーング方法が効果的です。

 

動画は、HAYATE選手が強化指定選手時に参加していた特別合宿で、実際に五輪アスリートも実施していたトレーニング内容です。以下にその詳細を記載します。

 

①両足つま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

②右足つま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

③左足つま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

④開脚つま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑤前もも上げつま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑥後ろもも上げつま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑦左右もも上げつま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑧前後ステップ移動つま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑨左右ステップ移動つま先ジャンプ(60秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑩足上げ片足静止(左右30秒ずつ)

 

インターバル(30秒)

 

⑪右蹴りモーションジャンプ移動(6種類×20秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑫左蹴りモーションジャンプ移動(6種類×20秒)

 

インターバル(30秒)

 

⑬高速連続蹴り動作(60秒で150回を目標)

 

かなり過酷なトレーニングですが、ふくらはぎが圧倒的に強化できますので、是非チャレンジしてみてください。

 

ダンベルのかわりにトレーニングチューブでもOK

 

自宅で簡単に取り組める筋トレとして一般的なのがダンベルトレーニングですが、こちらのようなしっかりとしたトレーニングチューブであれば、ダンベルのかわりに使用できます。

 

また、ダンベルに比べてかさばらない、逆三角形作りに不可欠な上から引くトレーニングができる、といったトレーニングチューブならではのメリットも少なくありません。

 


HAYATE選手執筆・格闘技筋トレ記事

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