2024/04/14 06:27
ベンチプレス初心者にありがちなのが「肩にばかり効いてしまい胸に効かない」ということですが、その状態を放置しておくといずれは肩の痛みに発展します。そうならないよう、肩に効いてしまう主な理由4つとそれぞれの対策=フォーム改善や補助ギアについて、当ショップ提携先の株式会社ONI代表取締役社長・奥谷氏(ベンチプレス世界王者)の理論もまじえつつ解説します。
本記事の技術理論の根拠となる監修者とその執筆記事
①肩甲骨をしっかりと寄せていない
肩甲骨をしっかりと寄せると、広義の肩関節(胸鎖関節・肩鎖関節・肩甲胸郭関節)はしっかりと後方に引かれた状態になります。
逆に肩甲骨をしっかりと寄せていないと、これらの関節は前方に残った状態になります。
広義の肩関節が前方に残っていると、当然、いわゆる肩関節(狭義の肩関節)は体幹に引き寄せられず、前方に残ったままとなり、この状態でベンチプレスを行うと、肩関節周辺に集中的な負荷がかかってしまいます。このため、肩にばかり効いてしまう状態になるのです。
この対策として適切なのが、肩甲骨を寄せる意識づけを行うことです。つまり、挙上開始前に、必ず肩甲骨の寄せを再確認するようにします。
なお、意識づけがしにくい場合は、肩甲骨を寄せる補助ギアのスパインサポーターを使用するとよいでしょう。
②グリップが合っていない
※ベンチプレス世界王者・奥谷氏による実演
こちらはバーベルシャフトを真っ直ぐに(シャフトと平行に)握ったノーマルグリップです。
この握り方で問題ない方もいますが、関節の微妙なつき方などには個人差があり、この平行グリップでは肩にねじれ負荷がかかってしまう人も少なくありません。
その場合は、このようなシャフトをやや斜めに握り込む「八の字グリップ」を試してみるとよいでしょう。
また、これとは逆の「逆八の字グリップ」という握り方もあります。
それぞれを試してみて、肩に負担の少ないと感じるグリップでベンチプレスを実施してください。
ベンチプレスのグリップについては、もうそれだけで1冊くらい本ができるではないかというくらい多岐に渡りますが、100kgを挙げるための要所だけ書きます。
ベンチプレスにおけるグリップは…
①バーの握り方としてのグリップ
②バーを乗せる位置としてのグリップ
③手首の角度としてのグリップ
④バーを握る幅としてのグリップ
主にこの4種類に大別できます。
このグリップについては、どれが一番効率がよい、どれが一番正しいかではなく、ご自身の身体との対話を通して最善を選ぶということになります。
参照元記事:【ベンチプレス100kgを挙げるやり方】フォームとメニューの組み方を元全日本王者が解説より引用
③挙上軌道が不自然
そもそも、ベンチプレスの挙上軌道が人間工学的に肩に負担のかかる軌道で行っている可能性もあります。
上図は古い考え方のベンチプレスの模範フォームですが、現在は人間工学的に不自然であるとされています。
しかしながら、未だにこの古いフォームを教えるトレーナーも少なくありませんので、肩を水平に開きバーベルシャフト・手・前腕を床と垂直に保つクラシカルフォームを教わった方は見直す必要があるでしょう。
こちらの画像はパワーリフティング世界王者の奥谷氏実演による「ベンチプレス斜め軌道挙上」です。
現在、パワーリフティング(ベンチプレス競技)の理論では、手首を寝かし、斜めにバーベルを下ろして同一軌道を折り返して斜めに挙げる、という挙上方法が最有力です。
(ベンチプレス用リストラップ[左]と一般筋トレ用リストラップ[右と]との強度比較)
なお、この斜め軌道挙上のためには、寝かせた手首を完全に預けることのできる高強度のベンチプレス用リストラップが必須です。
ベンチプレス用のリストラップ