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2024/04/14 06:15



ベンチプレスで頭が若干浮いてしまうことがありますが、これは正しいのでしょうか?正しくないのでしょうか?

また、お尻(腰)や背中を浮かせることもありますが、これも正しいのでしょうか?正しくないのでしょうか?

これらの疑問にお答えします。

パワーリフティング競技公式ルールでは

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まず、公式の競技ベンチプレスの規定を決めているIPF世界パワーリフティング協会のルールによれば、ベンチプレス試技中の姿勢について以下のように決められています。

リフターは頭部、両肩、両臀部がフラット・ベンチの面に接触するよう仰臥しなければならない。バーは両手共に“サム・アランドグリップ”で握り、手掌面でバーを安全確実に保持しなければならない。両足は床面につけていること。試技中はこの姿勢を保っていなればならない。

とされていますので、頭とお尻(腰)を浮かせるのはNGになります。

背中を浮かせるのはブリッジを組むのに必須となり、これは禁止されていません。

頭を浮かせることによるメリット


頭を浮かせることは、体幹の保持にマイナスになり、基本的には避けるべきですが、意図して行うことである局面では効果的なこともあります。

試しに、両手を前方に突き出し(ベンチプレスのフィニッシュポジション)、顎を引いてみてください。

大胸筋がさらに強く収縮するのが感じられると思います。

つまり、トレーニングとしてのベンチプレスでは、バーベルを挙げ切ったフィニッシュポジションで少し顎を引く(結果として頭がっ少し浮く)ことで、大胸筋を最大収縮させることができ、結果として大胸筋へのトレーニング効果を増加させることができます。

なお、力を入れるあまり顎を上げる(頭をベンチに押し付ける)状態になっている人を見かけますが、これは大胸筋の収縮方向に反するだけでなく、首を痛めるリスクもあるので避けましょう。

背中を浮かせることによるメリット



こちらの写真はベンチプレス世界王者・株式会社ONI代表取締役社長である奥谷氏の実演によるベンチプレスのブリッジです。

このように、ブリッジを組むことで次のような効果があります。

①挙上距離が短くなる

②力の出やすい斜め下方への軌道になる



ベンチプレスのフォームで最も分かりやすいのはブリッジです。

ブリッジには相応のメリットがありますので、やはりブリッジをまず行うことが重要です。

ブリッジを行うメリットは以下のとおりです。

①ベンチプレスの挙上距離が短くなることにより、フォームのブレによるエネルギーの損失が少なくなる。

②脚の踏ん張りを上半身の押しに乗せることができる。

ブリッジにおいてやってはいけないことが尻浮きです。

お尻のどこかはベンチ台の上につけるようにしましょう。このつき方が基準となります。

この基準を無くすと、ベンチプレスにおいて際限なくお尻を浮かせることになります。

参照元記事:マズレンコ製作所公式ブログ「GLINT」奥谷氏の記載より抜粋


奥谷氏のプロフィールと戦績


主戦績:ベンチプレス競技
2011日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2014日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2015年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2018年全日本ベンチプレス選手権大会74kg級3位
2022年世界マスターズベンチプレス選手権大会M1・74kg級優勝

主戦績:パワーリフティング競技
2009年全日本パワーリフティング選手権大会75kg級優勝
2011年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級優勝
2011年世界パワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級2位
2012年アジアパワーリフティング選手権大会ベンチプレス種目別74kg級1位
2017年全日本パワーリフティング選手権大会74kg級3位

お尻(腰)を浮かせることによるメリット



こちらの写真のようにお尻(腰)を浮かせる癖がついてしまうと、先の奥谷氏の記載にもあったように、際限がなくなります。

お尻(腰)を浮かせることでデクラインベンチプレス状態になり、挙上軌道はより力の出やすい斜め下方への押しになります。

こればかりやっていると、使用重量を落としたくないという見栄やこだわりにより、お尻をつけた正しいベンチプレス(もちろん重量は下がる)をしなくなってしまう人が少なくありません。

ただし、お尻(腰)を浮かせるメリットもあります。

それは、セット終盤で限界をむかえた時に、少しお尻(腰)を浮かせることによりセルフ補助(チーティング法)することができ、筋肉をオールアウトすることができるようになるということです。

あくまでも、セット最終局面で1~2回だけ行う、というふうに自分自身のなかで厳しく制約して行うとよいでしょう。

最後に、最新のベンチプレス競技での最新の挙上軌道についてご紹介しておきます。

ベンチプレスの競技フォーム(斜め軌道)



この画像は、実際に奥谷氏実演によるベンチプレス競技での挙上フォーム・挙上軌道を再現したものです。

筋トレとしてのベンチプレスでは、「バーベルを垂直にした前腕骨で支え、垂直に下ろして垂直に挙げる」というのが教科書的な動作になりますが、実はそれは人間工学的に全く非効率な挙上方法です。そして、この教科書的フォームで高重量ベンチプレスを挙げるためには、かなりの筋量と筋力が必要となってきます。

パワーリフティング・ベンチプレス競技は「筋肉をつけること」が目的ではなく、「重いベンチプレスを挙げること」が目的ですので、もっとも楽な軌道でベンチプレス試技を行いますが、それが上の写真のような「斜めに下ろして斜めに挙げる軌道」なのです。



競技フォームでの挙上でもっとも重要なポイントは手首ですが、上の写真は一般的な筋トレフォームにおける手首=垂直に立てて維持する状態です。

もちろん、これでは斜めに下ろすことも斜めに挙げることもできません。




そして、こちらが斜め軌道ベンチプレスでの手首の状態です。手首が自然に寝た状態でほとんどの負荷はリストラップに預けています。



何も考えずにベンチプレスの姿勢をとってバーを握ると、手首は自然に傾きます。

そして、手首が自然に傾くので、何も考えずにベンチプレスをすると自然に斜めの軌道を描くようになります。

手首を立てろという指導をよく見かけますが、これは肩周囲の関節への負担が増大しますのであまりおすすめできません。

手首が傾いたら手首を痛めるという意見がありますが、そのためにリストラップというギアがあります。

リストラップにバーの重量をあずけるぐらいの感覚でベンチプレスを行う方がよりスムースにバーを動かすことができます。

参照元記事の奥谷氏の記載より抜粋

競技ベンチプレスに必須の高強度リストラップ



ベンチプレスの競技軌道フォームでは、必ずそのために設計された高強度リストラップが必要になります。

以下に、当ショップで取り扱っている高強度リストラップをご紹介しておきます。


ベンチプレス用のリストラップ







この記事の編集者


上岡岳


アームレスリング元日本代表

ジムトレーナー・生物学学芸員

一般社団法人日本アームレスリング連盟

(常任理事・広報部長・レフェリー委員長)

主な戦績(アームレスリング)


1997三重県75kg級優勝

2000三重県85kg級優勝

2006全日本社会人選手権85kg超級2位

2007アジア選手権85kg級5位

2011全日本マスターズ80kg超級2位

2011アジア選手権マスターズ90kg級3位

2014全日本マスターズ90kg級3位

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